NTT DATAThink Daily

  • 地球リポート
  • 地球ニュース
  • 緊急支援
  • 告知板
  • Think Dailyとは

地球ニュース

RSSrss

Biodiversity

DNA鑑定で「住所」を特定、フカヒレの乱獲を防げ

2011.05.10 中川 真琴

ダイバーにも人気のアカシュモクザメ。サメは観光資源としても重要な役割を担っています。Photo by Michale Barrow

高級料理として珍重されるフカヒレスープ。アジア諸国の経済成長に伴いフカヒレの需要も高まり、世界的にサメの資源量が激減しています。一年間に捕獲されるサメの数は2600万から7300万匹ともいわれ、多くのサメが国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種に指定されています。フカヒレ漁に関する主な問題点は、1) サメは成熟が遅く、一度に産むこどもの数が少ない、2) ヒレだけが使われ残りは廃棄されることが多く、海の資源を有効活用できていない、3) モニタリング機能や貿易規制が弱く、正確な資源管理ができていない、などが挙げられます。

そこで、陸揚げされたサメがどこで捕獲されたかを知るために有効とされるのがDNA。2009年にアカシュモクザメのDNAを分析した調査(PDF)では、香港市場に出るフカヒレの多くが、乱獲で個体数が激減している西大西洋で捕獲されていることが明らかになりました。2011年には、米国ストーニーブルック大、海洋保護科学研究所のデミアン・チャップマン研究員率いる研究員グループの分析で、メジロザメ属のドタブカとクロヘリメジロザメのDNAから捕獲された地域を特定できることがわかりました。これらの研究は学術誌Endangered Species ResearchMarine and Freshwater Researchに発表されています。このようにDNAを「郵便番号」代わりに利用することで、乱獲されている地域が特定でき、地域レベルの資源管理や国際的な貿易規制の科学的根拠が確立されるということです。

海の食物連鎖の頂点にいるサメ。海の生態系を守り、持続可能なサメ漁を続けるためにも、サメがどこでどのように捕獲されているのか、消費者である私たちも考えていく必要があります。



関連するURL/媒体

Bookmark and Share

Thinkテーマ別に読む

Biodiversity, Science

このニュースの地域

ニューヨーク (南北アメリカ

中川 真琴