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Climate Change

温暖化に適応、「避暑地」を目指す生物たち

2011.08.23 中川 真琴

20年間でイギリス中部からエジンバラまで北へ220キロ移動したシータテハ(Polygonia c-album)Comma butterfly (c) Butterfly Conservation & Jim Asher

生物は涼しい高緯度や高地へ移動することで気候変動に適応していくだろうと言われていましたが、その移動スピードが予測されていたよりも2倍から3倍も速いことが英ヨーク大学の研究者らの調査で明らかになりました。この研究結果は学術誌サイエンス8月号で発表されています。

クリス・トマス教授、イ・チン・チェン教授らによる研究者グループは、過去の論文をもとに生物の移動パターンの2000を超える事例を分析。その結果、過去40年間における生物の平均移動速度が、10年毎に高地へ12.2メートル、高緯度へ17.6キロメートルだったことがわかりました。換算すると、毎時20センチメートルも高緯度へ移動したことになります。温暖化が急速に進む地域では移動スピードも速いこともわかり、気候変動と移動の関係性が、より確実に示されています。

しかし個別に見ていくと、涼しいところへ急速に移動している生物、予測より遅く移動している生物、移動しない生物がいることもわかりました。考えうる理由の一つは、気候変動に伴った温度以外の環境変化(湿度変化など)にも敏感な生物は移動が速いということ。そして気候変動以外の環境変化(生息地の減少など)が移動パターンに影響していることが挙げられています。

涼しいところへの移動が難しい生物は、気候変動への適応も難しく、絶滅していく可能性が示唆されており、気候変動による「勝ち組と負け組」が生じることが懸念されています。



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中川 真琴