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Biodiversity

海鳥にも漁師にも優しい漁業を

2011.06.13 中川 真琴

海鳥と漁業は昔から密接な関係にあります。遠洋では海鳥が集まっているのはそこに魚のいる証拠。漁師は海鳥を目印に魚を探しました。しかし漁師が仕掛けた釣針や網に掛かり死んでしまう海鳥も数多くいます。特に問題視されているのが、延縄(はえなわ)漁による混獲。英国の鳥類保護協会とバードライフ・インターナショナルが今月8日発行の学術誌Endangered Species Researchに発表した論文(PDF)によると、延縄漁に掛かり誤って死んでしまう海鳥は年間16万羽から32万羽におよんでいるそうです。

延縄漁では、ときに100キロ以上にもなる長いロープにたくさんの釣り糸を垂らして魚を獲ります。海鳥はここに仕掛けられた餌(えさ)に惹かれて引っ掛かり、溺れ死んでしまうのです。中でも最も深刻なのがアホウドリとミズナギドリの混獲。成熟までの時間が長く、産卵数も少ないため、個体数の回復が死亡数に追いつきません。国際自然保護連合(IUCN)の昨年の調査では、22種いるアホウドリのうち17種が絶滅の危機に瀕しているとされており、その大きな原因が混獲です。論文は、北太平洋における日本のマグロ遠洋漁業も海鳥の死亡数が多い漁業として挙げています。

論文の主筆筆者であるオレア・アンダーソン氏は、混獲による海鳥の死を防ぐには、鳥を威嚇して寄せ付けない延縄や、海面に漂う針に鳥が食いつかぬようおもりをつけて沈めた延縄が効果的だとしています。

海鳥に魚の餌を食べられたり、延縄に掛かった海鳥を外したりするのは漁師にとっても経済的、時間的な負担となります。鳥に優しい漁業が漁師にも優しい、そんな鳥類保護が実現できるといいですね。



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中川 真琴