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オランダ発「リースジーンズ」という発想

2014.04.15 ユイキヨミ

photo by Kiyomi Yui

ジーンズを、買わずに「リース」するという新しい試みが今話題を集めています。

このユニークな商法を考案したのは、オーガニックコットンのジーンズを生産するMUD JEANSというオランダのブランド。 20ユーロの保証金に加え、月々5.95ユーロを支払い、12カ月間ジーンズをリースするというシステムです。そして、期間満了時には、次の3つから希望の方法を選択します:1)更に4カ月分のリース料を支払い買い取る。2)10ユーロを支払い、他のジーンズのリース契約に変更する。3)MUD JEANSに送り返す。

同ブランドのジーンズは約110ユーロで、リースせずに買い取ることもできますが、リースならば、契約期間中はMUD JEANSが修繕などのメンテナンスも行ってくれます。有名ブランドのジーンズが、約90〜250ユーロで販売されていることを考えれば、非常に良心的な価格ということになります。

MUDJEANS2.jpg


「リースプロジェクトはまだ立ち上がってからわずかですが、すでにドイツ、フランス、そしてアメリカで知られています」と言うのはMUD JEANSのコンセプトストアのひとつ「Eerlijk Waar!」のオーナー、ジャン・ピエール・ベーレントセンさん。彼の小さなショップでも、1日平均3〜4人の「新規契約者」が生まれています。

このユニークな商法の背景には、「資源」に対する真摯(しんし)なビジョンがありました。「フェアトレードのオーガニックコットンは、生産に大きな手間と費用がかかります。近年の技術を使えば、古くなったデニムを粉砕して、新しい繊維と混ぜることでうまく再利用することができる。そこで、なんとか自社のオーガニックコットンを回収したいと考えた末に生まれたのが、このリースシステムです。ビジネスとして成立させるために、リース期間は1年としました」と、ベーレントセンさんはコンセプトを説明します。

MUD JEANSが掲げる使命は、「リサイクル服の産業を確立させること」だと言います。「現在、地上の限りある資源を、先進国の一握りの消費者が所有しています。けれども、それは本当に『所有』すべきものなのかと考えてみるべきでしょう。デニムの例で言えば、多くのジーンズは最終的には所有者に捨てられてゴミとなって焼却されてしまいます。もしここで、自分は貴重な資源を使用する機会を与えられた『ユーザー』であるという認識があれば、使い終わった後の資源に対する責任感や意識も変わっていくと思います」とベーレントセンさん。 

この粉砕したデニムは、ビスコースという素材と混ぜればしっかりとしたテクスチュアのフリースにも変身します。これもMUD JEANS自慢の品でリースが可能です。

現在、リース契約者は約1500人ほどですが、これを倍増させていくことがMUD JEANSの目標です。

MUDJEANS4.jpg


ところで、ある統計によれば、国民一人当たりのジーンズの所有数は、世界平均の0.9本に対して、オランダは5本と世界一。ジーンズと言えば「アメリカ」というイメージがありますが、実はオランダも「デニムの国」なのです。そんなオランダの首都アムステルダムは、デニムブランドの本社の密集度が世界一高い街でもあり、オランダ発祥のブランドの他、多くの外国の有名ブランドも本社をこの街に移しています。アムステルダム市が協賛する「デニム財団」も設立され、業界、行政、消費者をとりまとめて、よりサスティナブルなデニム産業を目指して活動しています。2年前には、世界初のデニム専門高等専門学校(3年制)も誕生し、注目を集めています。

このようにデニムシーンがダイナミックな展開を見せるアムステルダムでは、MUD JEANSのようにユニークで革新的な「デニムプロジェクト」が次々と誕生していきそうな気配です。

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