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2021.12.06 | 河内 秀子

ホームレスの人たちに贈るクリスマスプレゼント、受け付けます!

ドイツでは、11月29日の日曜日からアドベントが始まりました。アドベントとは「待降節」、その言葉通りイエス・キリストの降誕を待つ期間のことです。例年ならば、きらびやかなクリスマスマーケットに足を運んで友だちとホットワインを楽しんだり、にぎやかな街に出かけてプレゼントを選ぶところですが、今年はロックダウンは今のところないものの、家で過ごす時間が増えそうです。

ドイツは新規感染者が7万人を超え(12月1日現在)7日間指数(人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数)は昨年の同日比で3倍以上。ワクチン接種がなかった昨年に比べると重症化する人の割合は減っていますが、新たな変異株の発生に不安が広がっています。来年には収束すると言われているものの、インフレにも加速がかかっており、今後特に中流階級の貧困が深刻化する可能性も指摘されています。

気持ちが暗くなるようなニュースが多いですが、この時期ならではのアドベントカレンダーならぬ、「リバース・アドベント・ カレンダー」という、こころがポッと暖かくなるようなプロジェクトが始まりました。

オードリー・ピカルドさん。祖母と姉妹を描いた肖像画の前で

発起人は、ベルリンで昨年「La Case Paulette」というコンセプトストアを立ち上げたレユニオン島出身のピカルド姉妹です。以前は広告関係の仕事をしていたというオードリーさんは、「この店を通じて、全ての人種や性別の人のエンパワーメントを目指している」と言います。男性優位の職場でキャリアを築き、人に頼らず生きていくようにと教えてくれた祖母の名前を冠した店では、女性のデザイナー、アーティストの作品だけを扱っています。

お店では、アドベントの週末に女性のデザイナーだけを招いてフェミニスト・ウィンター・マーケットも開催する予定

自分たちが与えられているものをコミュニティにもお返ししたいーそんな思いで昨年冬に行ったのが「リバース・アドベント・ カレンダー」プロジェクトだったと言います。

「リバース・アドベント・ カレンダー」とは、様々な日用必需品や衣服、ちょっとしたプレゼント、カードなどを同封したギフトボックスを準備して、ホームレスの人たちに贈るというもの。

「リバース・アドベント・ カレンダー」の参加方法を書いたフライヤー

参加したい人は、自分でギフトボックスを準備して、この店のほか市内各地5カ所にある出荷所に預けると、クリスマスに路上生活をしている方たちに配布されるという流れになっています。特に、手書きのカードが嬉しいという声が多いそう。昨年は120以上のギフトボックスが集まりましたが、今年は初日に20個以上が届き、昨年以上に多くの人に、プレゼントが届けられそうです。

お店に届いていた小包。ラッピングペーパーやカードを自作したり、工夫を凝らしたものが多い
日用必需品だけでなく、ちょっとしたメッセージやコミュニケーションがうれしかったりするものだ

5万人以上もの人が定住できる家を持たず、時には道で暮らしているといわれるベルリンに住み始めてから、ずっとホームレスの人たちが気になっていたというオードリーさん。「これをきっかけに、皆さんがクリスマスプレゼントを買うときに、彼、彼女たちに思いを馳せてくれたら、とても嬉しいです」

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河内 秀子
河内 秀子(かわち ひでこ) 地球リポーター

ドイツ ベルリン在住 東京出身。2000年からベルリン在住。ベルリン美術大学在学中から、ライター活動を始める。 現在雑誌『 Pen』や『 料理通信』『 Young Germany』『#casa』などでもベルリンやドイツの情報を発信。テレビのコーディネートも多数。http://www.berlinbau.net/

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