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考える、それは力になる

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2020.04.30

自然豊かな奄美大島でブルースクールがプレ開校。未来に求められる「生きる力」とは?

(本記事は、緊急事態宣言発動以前に取材したものです。現在はこの記事に登場する「BLUE School」も活動を見合わせています。みんなが家にいて、自然と接することができない今こそ、大自然のなかで持続可能な未来を考える学びの場の価値を再発見できるタイミングだと考え、また「BLUE School」への応援の気持ちも込めて、この記事を公開することにしました)

 最近、教育とは異なる分野の人たちが作る新しい学びの場に注目しています。例えば、今年の秋に渋谷パルコで開校予定の10代向けクリエイティブスクールガク(GAKU)や「完全無料」でエンジニア養成講座を提供する42 Tokyo(フォーティーツー)、など、義務教育とは違ったアプローチの学びの場がいくつも誕生しています。このほど奄美大島の瀬戸内町でプレ開校した「BLUE School」も、そんな新しい学校のあり方を目指す活動のひとつです。デジタルネイティブの子どもたちに、自然豊かな奄美大島で持続可能な未来を考え、生きる力を身につけてほしいという想いで立ち上げたのは、東京・大阪でダイビングショップを運営する河本雄太さん。バリ島で成功を収めた「グリーンスクール」に倣い、奄美の美しく青い海を舞台とする未来の学び場をイメージして「BLUE School=ブルースクール」と名付けました。実は、先日お伝えした「グリーンスクール」の取材リポートも、河本さんがブルースクール起ち上げのためにアレンジした現地視察からの報告でした。都会での学びとは違う本物の自然体験からの学びとは一体どのようなものなのでしょうか?

2016年から奄美大島にある障害者向けのマリンアクティビティ施設の運営に携わり、2020年からBLUE School を本格始動させた河本雄太さん

 プレ開校に参加したのは小学生10名。みんな元気いっぱいで奄美空港に到着です。ワゴン車に乗り込み、真っ先に向かったのはもちろん海! 奄美大島の南部にある清水ビーチへ直行しました。水着に着替えてプールでウォーミングアップをしたら、3つのアクティビティ(クリアカヤック、シュノーケリング、サップ)に挑戦します。講師は自然遊びのプロである一般社団法人のあっく自然学校代表の高井啓太郎さんと一般社団法人72時間サバイバル協会代表理事の片山誠さんのお二人です。

サップ(SUP)に挑戦(右は講師の片山誠さん)

 カヤックのこぎ方やサップの乗り方など手取り足取り教えてくれるのかと思いきや、二人は子どもたちと一緒に全力で遊び出しました。講師の片山さんは「プログラムをたくさんこなすことが目的ではありません。まずは大自然の中で思いっきり楽しむこと。そして、子どもたちには海を見たり、砂浜で遊んだり、宿舎で友だちとトランプをしたり、自由に過ごせる時間が必要なんです。なので、なるべく余白の時間を作れるように工夫しています」と話してくれました。どうしても「学び」と銘打つと情報や技術を教えようと考えてしてしまいがちですが、それでは子どもたちは受け身になってしまいます。大切なのは自然の中で遊ぶ機会を作ることであって、その中で何を学ぶかは、子どもたち自身に任せることが大切なのです。

 海で思いっきり遊んだ後に、世界の海の問題について学ぶ授業がありました。目の前に広がるきれいな海と、ゴミが溢れた海外の海岸の写真を見比べて「どうしてこんなに海を汚してしまったのだろう?」と片山さんが問いかけます。「海にゴミをポイ捨てする人がいるから」「ゴミの収集活動が追いついてない」「町にゴミ箱がないのかも!」と子どもたちからはたくさん意見が出ました。1日目は世界の海のゴミ問題を知ることで、2日目のフィールドワークにつなげます。夕食後は宿泊所から車で10分ほどのマネン崎展望台で星空観測です。こぼれ落ちそうなほどたくさんの星が輝く夜空に子どもたちも大喜び! この星空は決して都会では見られない光景でした。

波の音を聞きながら世界の汚されてしまった海を見て、自分たちに何ができるか考えました

 2日目の朝は、西古見(にしこみ)にあるビーチでゴミ拾い。透明度が高い海を臨む美しいビーチも、少し歩くとあちこちにゴミが落ちていました。子どもたちが回収したゴミを集めてみると、中国語で書かれたペットボトル飲料が見つかりました。国内だけでなく、世界中のゴミが日本の海に漂流していることに驚く子どもたち。今度は集めたゴミを水槽に入れて観察してみました。すると、浮いているゴミと沈むゴミがあります。プラスチックには様々な種類がありますが、水より比重が小さいものが浮きます。水槽にゴミを入れることで小さなマイクロプラスチックの存在にも気づきました。きれいな奄美の海にも様々なゴミがあったことで、子どもたちは昨日映像でみた世界の海の問題が実は自分たちにも関係があることを実感します。こうして、リアルな体験と世界の課題を結びつけていくのです。

水槽の中身に興味津々!

 午後は1日目に遊んだ3つのマリンアクティビティに加えて、水中授業も行われました。希望者数名がダイビングスーツを来て水中マスクを装着し、河本さんと一緒に海の中へ入ります。骨伝導で声が届くデバイス(CASIOロゴシーズ)を使い、クマノミの生態や珊瑚の産卵期などについて、水中の現場を見ながら解説を聞くことができるのです。「本当の美しい海を知らないと、汚い海を見ても、そんなものだと思ってしまい、比較ができません。現状の課題を正しく認識するためにも、まずは美しい海の姿を知ってほしい」と河本さんは言います。

水中授業の様子

 海から上がって2日間の振り返りをすると、子どもたちは海にゴミがあったことがショックだったと話してくれました。「じゃあ解決する方法は?」という問いには「ゴミをちゃんと捨てる」「レジ袋を使わない」という現実的な答えから「人間がゴミを食べられるようになる」という驚きのアイデアも! 子どもたちの素直さと柔軟さを垣間みる瞬間でした。この2日間の体験を通じて、海の課題がちゃんと自分ごとになっていました。

 最後に、河本さんに今後の「BLUE School」のビジョンについて聞きました。
「『BLUE School』は、国も人種も年齢も違う様々な立場の人たちが集まり、自分の価値や夢を見つけられる場所にしたいと考えています。比較的熱帯地域で暖かく気候がよいこと、そして日本の治安の良さも担保しつつ、沖縄ほどの都市でもなく、ほどよいスピード感の奄美は、アジアの人たちにも受け入れてもらえると思います。僕自身『BLUE School』を始めることで、新しい仲間に出会って新たな生き甲斐を見つけることができました。ここに来た人たちが『BLUE Schoolって知ってる? 絶対に行った方がいいよ!』と言ってくれるような場所することが奄美大島に住む人たちへの恩返しになると思うし、いい時代、いい社会を作っていくことにも繋がっていくと信じています」

 これからの時代、AIやプログラミングなどテクノロジーの知識や技術を身につけることは必要不可欠になってくるでしょう。一方で学びとは本来、能動的な行為です。「何のために学ぶのか」という主体性を身につけたり、大自然を相手に「想定外」のことに対応する能力を高めたり、人間が本来持つ「生きる力」を育むことも非常に重要です。現在はコロナの影響で気軽に外に出て遊べない状況ですが、だからこそ、大自然での体験の価値がいかに大切か、改めて感じられるのではないでしょうか。コロナが収束した後に本格的な活動を始める「BLUE School」に期待しています。
(笹尾実和子)

問い合わせ先:BLUE School (info☆blueschooldesign.com)☆を@に変えてメールしてください。

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