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考える、それは力になる

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2021.08.30

未来を変える学校 第2回リポート


「未来を変える学校」第2回目のゲストは株式会社スマイリーアースの 奥 龍将(おく たつまさ)さんをお迎えしました!まずは30分の講演を動画でご覧ください。

奥さんの講演後、SDGs for Schoolのサポートティーチャーで新渡戸文化学園の山藤旅聞教諭による進行で、学生によるインタビューと参加者からの質疑応答を行いました。

草間さん(中2):
僕は社会問題に興味があって解決に向けて行動していきたいと思っていますが、何から始めればいいかが分からなくて。そういう人たちに向けて一歩目を踏み出すためのアドバイスを貰えませんか?

奥さん:
問題を大きく考えると、一番手前の一歩目が見えなくなってしまうことが結構あるんです。スポーツでいうと、例えばスランプですね。「練習では出来るのに、なんでタイムでーへんねん!」って考えれば考えるほど泥沼にハマるわけです。でも自分の身体のことは、自分が一番知っているんです。自分の中で見つけた「これやったら変わるんちゃうんかな」という部分から、まずは一個ずつやってみることが大事なんじゃないかと思います。社会問題の中のどの部分が自分は一番嫌やなって思っているか、というところを分析してみて、一番変えたいと思うところを見つけてから、それを変えるための自分の役割を知り、プロセスを考える。そういう形を取れば見えてくることがあるんじゃないかなと思います。

草間さん(中2:
今、部活でハンドボールをやっているので、スポーツに関する話ですごく勉強になりました。環境を良くする活動をしている上でのスランプはあったりしますか?

奥さん:
めちゃくちゃええ質問ですね。スランプっていうのも捉え方やと思うんです。自分的には調子が悪いときは、あまり落ち込まず、前向きに捉える。「これもひとつの経験、次に同じことを繰り返さんように自分に戒めよう」と思考しています。大学3年生の頃、その思考でスランプをブレイクスルーできた経験もあって。それと思いっきりやることが大事ですね。中途半端じゃなく、やるんだったら思いっきりやる。あと、楽しむ。あかんときがあるのも当然だと思うんですね。そのあかん自分をどう奮い起こしていくか、それも逆に楽しむ。そういうポジティブな人が結構強いんですよ。そこまで強くなれ!とは言わないけど(笑)。学生時代とか、皆さん自身の生い立ちの中で出てくることだと思うので、ぜひ頭の片隅に入れといてもらえたらと思います。

山藤:
ピンチもチャンスに切り替えられる。それが社会課題に向き合う大事なマインドなんですね。同じSDGs for Schoolの中でもスポーツマンのひとり、落合くん、今の話聞きながらどうですか?

落合さん(大2):
僕は中高生の時にサッカー部のキャプテンをやっていて、試合後にみんなに集まってもらって、「何が良くないんだろう?」と考えてもらうことがありました。「失点しない」という話だけだと難しい問題になってしまうので、問題をシンプルに考えてみると、結局一対一の勝負で目の前の足を一歩出すのが出来てなかったとか、もう一歩走りたかったとか、各個人の身近な問題に落とし込むことができて、そういう経験があったので、奥さんの話を聞いて、確かにそうだなと思いました。

奥さん:
今の話は、チームで負けたことの反省をどこに持っていけるかということで、社会にとっても重要なことを話されていたと思います。例えば日本の社会のなかにも、大人の事情で適当にゴミ箱に捨てられた問題があると思うんですよね。それを今、意識が変わった一人ひとりがまた拾いあげて解決していけば、社会全体の解決に一歩近づくと思うんですよね。自分の間違いも正しながら仲間の間違いも指摘し、チーム全体の課題として正していける、そんなコミュニケーションが取れると次につながっていくと感じます。

山藤:
ありがとうございます。部活とかスポーツなど普段の生活のなかに社会課題を変えていける一歩目があるんだという視点を頂けたと思います。次は農業やテクノロジーについて中学1年生からの質問です。

柄本さん(中1):
面白いお話をいっぱいありがとうございました。2030年までにタオルが地球を汚すことをなくすという目標についてお話を伺いましたが、これからロボットなど機械化をしていくことでこういう目標が達成できると思いますか?

奥さん:
確かに機械の技術を開発したことで、今後の発展が見えてくるとは思うんですけど、まずは綿の特性についての知見をみんなが持つことから始めないといけないと思います。僕たちはこの10年の積み重ねで、むしろアナログ化していくことで人類が見落としていた技術に巡り会えました。タオルを作りながら、野菜を作っている。“え!?”と思うかもしれないけど、とてもロマンを感じています。人類と自然との共生においては、ジョイントとなる存在が必要だと思っているのですが、もしかするとタオル職人がその役割を担っていけるのではないか。その中で見つけ出した技術が、これまでとは違う社会に変えていくターニングポイントを作り出していくのでは、と感じています。

山藤:
スマート農業やAIの技術が騒がれると、僕らの視点もそちらにいってしまいますが、アナログに戻すことでたくさんの気づきがあるということですね。

藤井さん(高1):
化学薬剤などの知識とか技術とかって元からあったものですか?タオルを開発していくうちに培ってきた技術なのでしょうか?

奥さん:
まさに培ってきた知識だと思います。親父が積み上げてきた知識というのが大きくあります。その知識を受け取って、その上にさらなるものを積み上げていく。自分は今、そういうステージで取り組んでいます。親父がウガンダとつながっているのも、アフリカオタクで、自然大好き野郎だという理由なんです。親父は “大自然アフリカ”というような番組を子どものうちから見て、絶対行きたい! と思って、おばあちゃんにお金出してもらって、大学の時にそれを握りしめてアフリカに行くわけです。その想いが時を越えて、アフリカの環境を守ることにつながる「オーガニック」という考えに出会いました。でも農家さんたちが自然環境に害を与えずに丁寧に育てたオーガニックコットンなのに、一般的な生産プロセスではタオルになっていく間で化学薬剤がいっぱい使われていくわけです。それを目の当たりにして、「え? おいおい、農家さんが頑張ってくれているのに何してんねん」と。しかもお店では「オーガニック100%のタオルです」って言ってお客さんに渡すんです。「おいおい、これおかしくない? お客さん騙してるやん。詐欺師やん」って素直に思ったんです。そこから、調べごとが始まったんです。そしたら、綿ってそもそも水を吸わないことも知るんですよね。何で吸わないねん? 油が含まれているから。じゃあ、この油をどうやって落とすんやろ。薬剤いっぱい使って落としますよ、と。それが今までの常識だったんですけど「それ嫌やねん。じゃあ、どうしたらいい?」。その繰り返しなわけです。そんな中で最終的に綿が自分で自分を洗う自浄作用というのに気付いた。そこから技術開発につながっていったんですね。実はそんな裏側があります。

ミンジさん(大2):
綿の生産国はたくさんあると思いますが、なぜウガンダだったのか。オリンピックの合宿にウガンダの選手が来るまでのつながりを聞きたいです。

奥さん:
ウガンダのコットンと出会うきっかけを作ってくれた柏田雄一さんというすごい日本人がいるんです。まだ内戦だった時代にウガンダ政府から、繊維産業を国に根付かせ、国民の仕事を作り平和を構築していく任務を授かって頑張られた方です。その方が2000年頃からオーガニックコットンを普及させる取り組みをしてきた経緯から親父と出会って、自分たちのタオルづくりにウガンダコットンがつながっていく、そんな背景があります。僕もウガンダで柏田さんの家で寝泊まりさせてもらいながら、柏田さんの会社で働かせてもらいました。現地の方々と同じ飯を食って同じ環境で働くということをさせてもらいながら、自然とウガンダの方々とのつながりが強くなっていきました。
ウガンダは東京オリンピックで1万メートルで銀メダルと銅メダルを取りましたけど、長距離が得意なんです。2012年のロンドンオリンピックではマラソンでスティーブン・キプロティチ選手が金メダルを取ってるんです。ですから、陸上をやってた僕の中では、ウガンダはリスペクトなんですよ。そんな国の方々と一緒にいるだけで超幸せ!くらいの感覚で。で、これは、本当に巡り巡った話なんですけど、大学卒業して4,5年は毎日走ってたんで、ウガンダでも朝のランニングしてたんです。そしたら、ある日、ばったり金メダルリストと会うんですよ。「え!キプロティチ選手やんけ!」って、おもいっきり追いかけて、そこでコミュニケーション取って、フェイスブックで友達になって。そこから東京オリンピックのホストタウンのつながりが生まれたんです。また、コットンの繋がりで信頼関係を深めていたウガンダ北部の農家さん達とは未来に向けた綿とタオルのつながりをつなげていこうということで、友好都市が実現していった。切っても切れないつながりで、ウガンダには足向けて寝られへん(笑)。ということでウガンダのため、日本のためにこれから頑張っていきたいと思うところです。みんなも、ホンマに何あるかわからないんで。どんな出会いがあっても反応できるように、常にアンテナは全部立ってる状況を作ってもらえたらなと思います。

トラオレさん(中1):
ウガンダのいいところをひとつ、日本にこれを取り入れたいということがあれば教えてください。

奥さん:
自分が関わっている地方の人たちの心の中に根付いていると感じるのは、自分たちがお父さん、おじいちゃんから受け継いた土地に対する愛情ですね。自分たちに流れている民族の血に対する意識が強いなとも感じます。だからこそ守れている文化があるし、守れている環境がある。そういう視点、そんな心を、一番ウガンダから日本に持ち込みたいなと思います。素晴らしい!あっぱれ!と言いたいほどの感覚をウガンダで受けたのを覚えています。

菅波さん(大1):
面白いお話ありがとうございます。ウガンダに行って、タオルから陸上から色んなことがつながっていくという、その面白い縁を楽しませていただきました。そうした活動を広げていく中で自分たちと違う考えの人たちと衝突したり、誤解されることはないでしょうか。SDGsも名前だけ広がって、あまり良くないイメージで広がっている面もあると思います。そうしたトラブルに対する心構えや体験があれば教えてください。

奥さん:
大事なことは正義であるかどうか。人としてまっとうな生き方ができているかどうかなんじゃないかなと思います。僕もタオルづくりで間違ったことはしたくない。こっちの方が絶対正義やろ、と思う部分を貫きたいという想いでやっています。人間として持つべき大切な部分を、SDGsという時代の波で、思い返させてくれてると僕は思ってるんです。皆さんのような学生さんも、大人の良くないところを学ぶんじゃなく、それを変えていくことが一番重要だと思うんですよね。大人も、若い人たちから始まる社会の変化に反応していくんじゃないかなと。正義感をもったマジョリティを増やす。その流れこそSDGs時代に作らないといけない成果なんじゃないかなと思います。

山藤:
学生の皆さんから今日しか話せない問いが生まれて、この瞬間しか生まれないクロストークでたくさんの学びをいただけて、最後はSDGsを超えた視座で、人としてどう生きるのか、という問いをいただきました。奥さん、ありがとうございました。

笹尾:
奥さんが、自分が持っているのに活かせていなかった資源に着目して、新しい事業を広げていかれたことが印象的でした。みんな自分の無いものに目がいきがちですけど、すでに持っているものや活用できる技術など、ほかの業種でもあると思います。そういったことに着目すると、SDGsをきっかけに協業したり新しい仕事が生まれたりする可能性があるなと、すごくワクワクしました。

奥さん:
僕たち日本人やのに、日本という島国の特性を活かしきれてないと思うんです。今まで資源として見えなかったものを拾い上げていけるような能力を、もっと伸ばしたいと思っています。なおかつ、自分たちの財産を活かしきれる技術が出来てくると未来につながっていくんじゃないかなって思っています。若い皆さんに伝えたいことは、人に任せるんやったら一回自分でやってみるということです。自分でパッと作れるようになれば、アクションも自分で起こせるようになるんですよね。自分でやれることが増えると、面白く成長・発展していくと思います。

笹尾:
最後にコロナ禍で大変だと思いますが、今後の夢や目標がありましたらお願いします。

奥さん:
コロナがどーんと来て、もろに影響を受けました。そこで収まるのを待っているより自分たちから行動を起こそう!と、生産拠点に人に来てもらうためにタオルに関するエンターテインメントをしっかりと提供できるような拠点作りを進めています。地域の水の循環のなかで野菜や綿を育てて、綿が土から生まれているということを知ってもらえるような、そんなタオルの発信拠点を作っています。今はタオルを作っているよりも、土木屋さんみたいな仕事をしています。コロナ禍という時間を、自分たちの次なる一歩に活かすため、自分たちで作る努力を続けているところです。2025年の大阪万博では日本国内だけでなく、世界中からいらっしゃる方々にも、「こんなタオル屋がここにおるんや」と、思い切りアピールしたいと思っています。今日はありがとうございました。

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