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2023.04.18

第2回エデュケーター・ギャザリングを開催しました!

2023年2月28日、第2回エデュケーター・ギャザリングが開催されました。このイベントは「SDGs for School 認定エデュケーター講座」を受講修了したエデュケーターの皆さんを対象に、情報共有や活動報告、エデュケーター同士のつながりを作る場として開催しています。

第1部は、コメンテーターとしても活躍されているジャーナリスト、浜田敬子さんから日本の大きな課題である「ジェンダー平等」についての最新の話題をご提供いただきました。
気候変動問題に取り組む大学生の黒部睦さんからは、COP27へ参加した報告と現地で感じたことを共有いただきました。そして第2部は、エデュケーターのみなさんによる活動報告が行われました。本記事では、第1部の様子を中心にレポートしていきます。

ジェンダー平等のために私たちができること(浜田敬子さん)
長年、女性の働き方や生き方について報じてきた浜田さん。そのきっかけは、週刊誌『AERA』編集部での経験でした。AERAでは女性記者の先輩たちが、女性の生き方や働き方の問題を精力的に報じており、刺激を受けたといいます。副編集長、そして編集長に昇進したとき、周りに女性の管理職は少なく、どんなリーダーになれば良いか悩んだそうです。自分自身の悩みとAERAで報じてきたテーマがシンクロし、20年以上、このテーマに取り組み続けています。

◾️特に「政治」「経済」で進んでいない、日本のジェンダー平等
世界経済フォーラムが毎年発表するジェンダーギャップランキングには教育、健康、政治、経済の4カテゴリがあります。日本は特に「政治」と「経済」の順位が低く、政治は139位と著しく低い状況です。

経済の分野では、社会のあらゆる分野において2020年までに「指導的地位」に女性が占める割合を少なくとも30%程度とする目標「202030」が未達成です。また、企業における女性の管理職比率は15%程度です。このような現状の背景には、日本の労働時間の長さと「性別役割分業意識」が高いことが挙げられます。男性が主として稼ぐ役割を担い、長時間仕事をすると、女性の家事育児の負担が大きくなります。すると女性はキャリアに前向きになれず、管理職やリーダーになろうと思えない。これは「女性の意欲の問題というより、構造的な問題が大きい」と浜田さんは指摘しました。

政治の分野ではさらに厳しい状況です。なぜ、政治分野での女性進出が進まないのでしょうか。そこには立候補を阻む3つの壁があるといいます。ひとつは、政治は男性のものという意識が根深いこと。2つ目は議員活動と家庭の両立の難しさ。3つ目は経済的負担の大きさです。政治家になるには今ある仕事を手放す必要があり、経済的な余裕がなければ議員になるのは難しいのが現状です。男女の賃金格差や、性別役割意識の根強さなど、さまざまなジェンダーギャップ要素が、政治分野への女性進出が進まないことに関係しているのです。

◾️日本における変化の兆しと、世界の劇的な変化
「ジェンダー後進国」と言われる日本ですが、少しずつ変化の兆しがあります。例えば、2021年に行われた東京都議選では女性議員が躍進しました。これは東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言が報じられた後の選挙。ジェンダー平等に対して有権者の関心が高まったことも、女性の議員が増えた背景にはあります。2021年の自民党総裁選では女性候補者が半数を占めたり、東京都の自治体では次々と女性首長が生まれたりしています。

一方で世界の変化はもっと劇的。なぜなら、ジェンダー平等はSDGs全体に深く関わっているからです。例えば気候変動の影響で干ばつが深刻になると、途上国で水を汲みにいくのは女性の仕事。長時間かけて水を汲みにいかなければならないので、女の子は教育の機会を失います。気候変動ひとつとってもジェンダーの問題は深く関わっているのです。

これから私たちができることは、身近な組織のジェンダーバランスを見直してみたり、選挙の時には候補者のジェンダー政策に注目してみたりすること。浜田さんは「女性にはより多くのチャンスを、男性はプレッシャーからの解放を」と、講演を締めくくりました。

浜田さんの講演に続いて、国立音楽大学3年生の黒部睦さんから、COP27(国連気候変動枠組条約第27回締約国会議)へ参加した報告をいただきました。

COP27からの報告(黒部睦さん)
◾️黒部睦さんの活動ときっかけ

黒部さんが活動を始めたきっかけは、高校1年生の時。黒部さんは幼い頃から漠然と「みんなが幸せに生きられたらいいな」という思いを抱いていたそうです。Think the Earthが当時開催した、SDGsを知るワークショップに参加したことで、SDGsとその思いが結びつき「これが達成されたらみんなが幸せな社会が実現するんじゃないか」「もっと多くの人にSDGsを知ってもらいたい」と考えるようになりました。

高校3年生の時には、SDGsを知る海外ツアーに参加。スイスのジュネーブで国際機関を訪れたり、スウェーデンのSDGsの取り組みを学びました。そのツアーでは、国や自治体に対して気候変動への対策を求めている「同世代との出会い」があり、大きなきっかけになったそう。「学ぶ時間や遊ぶ時間を割いてまで、同世代が気候危機に対して声をあげている。私たちも声を上げなくては」そう突き動かされた黒部さんは高校3年生から、気候変動対策にフォーカスした活動を開始しました。

これまでに、気候危機への対策を求めるマーチの企画や勉強会、政府への署名提出などの活動を行ってきました。「気候変動運動への参加をしていると批判的な言葉をもらうこともあり、活動を辞めてしまう人も多いんです」と黒部さんは実情を教えてくれました。しかし黒部さんはめげずに活動を継続。大学2年生の時に、2020年9月にニューヨークに設置されたClimate Clockを日本に設置するために、「Climate Clock プロジェクト」を立ち上げ、クラウドファンディングに挑戦しました。

さまざまな活動をする中で、多くの仲間に出会った黒部さんは、共に活動をしてきた友人から「一緒にCOP27へ参加しないか」と声をかけてもらい、COP27への参加が実現しました。

◾️COP27全体を通して
2022年11月6日~20日にエジプトのシャルムエルシェイクで開催されたCOP27。今回のCOPでは、深刻化する気候変動により「損失と損害」を受けた国々への支援を目的とする基金を創設することに合意がなされました。COP27の場は「世界の人々がどう気候変動に“対応”しようとしているのか、縮図のような場所だった」と黒部さんは表現します。対策ではなく「対応」と言う理由は「必ずしも気候変動を止めることを最終目的としているわけではない人を多く見たから」だといいます。

◾️会議だけではない、さまざまな催し
COP27は会議を行うだけの場ではありません。企業の展示ブースや各国のブース展示、さまざまなセクターの方同士が集うセッション、市民によるアクションなど、さまざまな催しが行われます。

また日本は今回、環境NGO「気候行動ネットワーク(CAN)」から、気候変動対策に消極的な国に与えられる「化石賞」を受賞し、これで3回連続。日本のブース展示は「気候変動に向けて『これから』対策をしていきます」といった、ある意味悠長なトーンだったそうで、「既存の仕組みからでも『早急に』気候変動対策をしていく」という差し迫った危機感を感じるトーンの展示が多い中、日本と各国の差も感じたといいいます。

◾️市民によるアクションや会議の様子
気候正義マーチの様子を撮影した動画も見せていただきました。世界中から集まった人々がマーチに参加し、声を上げています。

What do we want? -Climate justive.(何を求めてる?ー気候正義!)
When do we want it? -Now.(いつほしい?ー今。)
If we don’t get it? -Shut it down.(もし手に入らないなら、私たちはシャットダウンする!)
No more fossil fuel. Don’t gas Africa.(化石燃料はもういらない!アフリカに!)
Pay up×3 for loss and damage.(損失と損害に基金を!)

市民による会議やユースによるスピーチも行われました。さまざまな手段で市民が声を上げる姿のなかで、特に黒部さんの印象に残ったのは、市民のサイレントパフォーマンス中に、バイデン米大統領が横を通り過ぎた瞬間。バイデン大統領に気づいた集団は、急遽声を上げはじめ、市民から大統領に向けて直接訴えが行われました。普段交わることのない違う思いを持った人々が交わる場面がある。COPの知られざる一面でした。

黒部さん自身は、小池都知事に声をかけてみたそうです。残念ながら立ち止まってはくれませんでしたが、「こういう活動に参加している若者がいる、ということは届いたんじゃないかな」と話しました。

◾️先進国に住む人としての責任、「連帯しよう」というメッセージ

黒部さんがCO27に参加して感じたことは、先進国に住む人としての責任や、連帯の重要性。今まで黒部さんは活動の中で「気候変動対策にもっと取り組んでください、声を上げていきましょう」と訴える側でしたが、COPの場では途上国やマイノリティ(先住民など)の方々から「訴えられる側」だったのです。先進国に住む人として、その責任を持って、声を上げて行かなくてはいけないと黒部さんは感じました。

会場で多く聞かれたワードとして挙げたのは「solidarity(連帯)」という言葉。損失、損害を被っている国や地域の人々から「あなたたちの国だからこそ、できることがあるでしょう。だから連帯して、未来を変えていきましょう」といったメッセージを受け取ったそうです。「加害者だ」と責められるのではなく「連帯をしていきましょう」というメッセージは、本当に救いだったといいます。

◾️どんな立場の人でも、あなたにできることがある

COP27を経験し、今後黒部さんが特に伝えたいことは「正しい情報」と「どんな立場の人でも、あなたにできることがある」というメッセージだといいます。ビジネスマンならビジネスの仕組みを変えることでアクションができたり、生産現場では、長く使えるものを作ることでできることがある。先生は生徒に伝えることでたくさんの種をまくことができます。そして「若者も声を上げ、アクションすることができる」ということを、教育に携わる皆さんにはぜひ伝えていってほしいと呼びかけました。

第2部 エデュケーターからの報告はこちら

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