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考える、それは力になる

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2023.12.15

ティーチャーズ・ギャザリング2023@大阪を開催しました!(前編)

今回スタッフとして参加した、高校生インターン生のKakoです。今年9月に開催した、ティーチャーズ・ギャザリングのレポートをお届けします。

SDGs for Schoolの活動として2018年から継続して実施しているティーチャーズ・ギャザリング。今年は東京を飛び出し、大阪での開催となりました。

開催6回目を迎えた今年のテーマは、「Beyond SDGs〜持続可能な社会を目指す時代の教育に求められるものは何か」です。
2023年は、2015年に国連で採択されたSDGsの折り返しの年です。このタイミングで、改めてSDGsと向き合い、どう教育の現場で活用していくべきかを参加者のみなさんと考えました。
本レポートでは、当日の様子をお届けします。
(当日のプログラムはこちら)

◾️プログラム◾️
9/2(土)
最初のご挨拶
講演:蟹江憲史さん 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授
「未来社会を考える」

話題提供:上田壮一 一般社団法人Think the Earth/多摩美術大学客員教授
【IDGs=Inner Development Goalsについて】

各学校からの実践報告
◇学校と連携する企業・団体の取り組み紹介
◇中川敬文さん/株式会社イツノマ パターン・ランゲージ入門

9/3(日)
◇ワークショップ:中川敬文さん 株式会社イツノマ
 サポート:山藤旅聞 新渡戸文化中学・高等学校/一般社団法人Think the Earth
※学校と連携する企業・団体の取り組み紹介/中川敬文さん パターン・ランゲージ入門、ワークショップの様子はレポート後編(近日公開予定)でお届けします。

◇最初のご挨拶:東庸介さん 辻󠄀調理師専門学校

今回会場を貸してくれた辻󠄀調理師専門学校で公衆衛生学を教えている東庸介さんに最初のご挨拶として学校の紹介をお願いしました。

「近年は、料理人や菓子職人にも求められる知識やスキルが多様化しています。例えば私が大好きなシェフの中の1人で、ミシュラン3ツ星でグリーンスターも獲得された生江史伸さんは美味しさを追求するだけでなく、環境の負荷に配慮した食品や、食を通じて社会課題の解決を目指した取組をされています。本校でもこうした持続可能な社会、食の未来に担う人材の排出に尽力しています。2024年には大阪の辻󠄀調理師専門学校と辻󠄀製菓専門学校が1つの学校に、東京のエコール辻󠄀東京が専修学校として“辻󠄀調理師専門学校東京”と新しく生まれ変わるので、ぜひ食に関心のある生徒さんの進路のひとつに考えてもらえたら嬉しいです。」


東庸介さん 辻󠄀調理師専門学校

◇講演:蟹江憲史さん 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授 
「未来社会を考える」

蟹江憲史先生には、オンラインで【未来社会から考える】と題した講演をいただきました。

SDGsで大切なことは「未来思考で考えることです。ありたい未来を考えて現在地に戻ってくるという、逆転の発想が大切」と話す蟹江先生。このことを教育の現場でも実践し、考えていくことを提案してくれました。
また、現状ではSDGsの目標を達成するためには今の世界を大きく変える必要があること、コロナのパンデミックや国際的な紛争・戦争、そして気候変動などの影響から、SDGs達成は後退してしまっているゴールが数多くあることなど、現状の課題を共有していただきました。そして日本は、SDGsの認知度は各国と比べて高いものの、その内容を知っている割合は最低レベルであるという調査結果があります。SDGsのことを知っているだけではなく、SDGsの本質を理解し行動を起こせるようになるためには、教育が一番大切だと強調されました。

最後に参加者の皆さんへ「SDGs達成のためには、自由な発想で理想の未来を考えることが重要だと思います。そしてなにかの課題を解決するためには、柔軟な考え方と多様なパートナーシップを築くことが必要になります。ぜひ生徒のみなさんと一緒に課題解決を目指した行動にチャレンジしてみてください」というメッセージをいただきました。


蟹江憲史さん 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授

◇話題提供:上田壮一 一般社団法人Think the Earth/多摩美術大学客員教授
【IDGs=Inner Development Goalsについて】


上田壮一 一般社団法人Think the Earth/多摩美術大学客員教授

上田さんからは「IDGs」についての話題提供がありました。みなさんは、IDGsという言葉を聞いたことがありますか? IDGsは「Inner Development Goals(インナーディベロップメントゴールズ)」の略で、SDGs達成のためには、人間の内面的成長が必要である、という考え方です。争いや分断を生むのも人間ですが、相手と話し合ったり認め合ったりすることができるのも人間の特徴です。2020年に非営利組織が設立され、人間の内面的な成長に着目し、フレームワークやツールキットを提供、サミット開催で「拡張と統合」をしてゆく3段階で活動しています。スタートしたばかりで、まだ発展途中ですが、教育の現場でも活用できる考え方だと思うので注目してみてはいかがでしょうか。英語のウェブサイトになりますが、ぜひ一度ご覧ください。

Inner Development Goals

◇各学校からの実践報告

今回は学生含めた6名のに学校での授業を報告していただきました。
・磯西重行さん 枚方市立東香里小学校/NPO法人学修デザイナー協会理事  
探究リンクプロジェクト Chat GPTも活用して企業の課題解決に挑戦!



磯西重行さん 枚方市立東香里小学校/NPO法人学修デザイナー協会理事

東香里小学校では、チャットGPTを活用した授業を行っています。今回は「未来実現型探求・探求リンクプロジェクト プレゼン」という、企業(コニカミノルタ株式会社AccurioDXチーム)の課題に対して小学生がユニークな解決アイデアを提案する授業をご紹介いただきました。

例えば、子どもたちに「未来に見えるものは何か」という問いを出したところ、「気持ち」「世界全体」「明日の出来事」「誰かの状況」など様々な考えを書き出しました。同じ問いをチャットGPTに聞いてみると、人間と同じような回答が出てきました。そこで、「人間にしかできないことは何か」と子どもたちに問いかけると「AIはいい未来については考えていない。僕たち、私たちはいい未来について考えることができる。」という回答があったので、更にチャットGPTで同じ問いを聞いてみる、ということを繰り返しました。チャットGPTを使ったことで、より自分たちの考えを深めていくことができ、最終的に子どもたちは自分のプロジェクトのロジックプランを作って発表する、というところまで成長していました。

・森 麻子さん 枚方市立東香里小学校
バックキャスティングで考えるウェルビーイング『町の幸福論』


森 麻子さん 枚方市立東香里小学校

森さんからは、小学校6年生を対象にした国語の授業の実践報告をしていただきました。授業では「バックキャスティング」、「場づくり・ものづくり」、「ウェルビーイング」、この3つの観点を大切に、授業が構成されていました。
「バックキャスティング」については、著:山崎亮さんの『町の幸福論』という本を教材にしています。「公園や町の施設をどのようにしていくと本当の幸せが私たち訪れるんだろうか」という箇所を読み取って、こどもたちに「20年後の自分たちの地域にこんなものがあったらいいな」ということを考えてもらいました。この時、フューチャーマッピングという手法を活用して、120%ハッピーな20年後を書き出しました。理想の未来からバックキャスティングをして、今、自分たちは何に取り組めば良いのかを自分ごと化して考えることができました。その後、幼稚園の児童と交流する時にも、クイズやインタビューを通じて20年後どんな町にしたいかを聞いたり、よいアイデアを本物の投票箱をお借りして投票して、ベスト3に選ばれたプロジェクトを地域の人にプレゼンすることができました。
私は自分よりも年下の幼稚園生との交流からたくさんの刺激を受けている様子に驚きました。森さんは、こうした体験を通して実際に行動すると自分の地域も、そして世界も変わっていくということを感じ取ってほしいと伝えてくれました。

・松本 守さん 慶應義塾中等部
気候変動 × 食 × ものづくり


松本 守さん 慶應義塾中等部

松本さんからは昨年度SDGs目標13をテーマにしたワークショップの実践報告をしていただきました。

参加者は中学生から大学院生までの多世代を対象とし、会場は大学が所有する施設「慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo:通称ケムコ)」を採用しました。ワークショップの導入として生徒には気候変動の危機を乗り越えるためのアイデア出しと行動宣言を記入してもらい、その宣言を作品として形にします。作品の展示期間中、中高生は来場者に作品への思いや問いかけを行うことで対話が生まれる仕組みが作られていました。そうすることでお互いに課題についてより理解が深まります。最後に、来場者に葉っぱの形をしたメッセージカードに行動宣言を書いて貼り付けてもらうことでマザーツリーを完成させました。行動宣言からものづくり、そして課題を伝える側になることで、ワークショップの参加者が成長していく仕組みをしっかり作られていると感じました。

・久保川剛宏さん 滋賀県立河瀬中学校・高等学校
ケ(褻)の日の授業で育む持続可能な社会の創り手~GoogleEarthでボルネオスタディツアー!!~



久保川剛宏さん 滋賀県立河瀬中学校・高等学校

久保川さんは「普通の公立の授業の中で社会の作り手の精神を養えないか」ということを考えて授業を実践しています。そのきっかけは自分と同じ生物の授業で山藤先生がたくさんのプロジェクトを作っていることに衝撃を受けて、ご自身の授業を変えたそうです。

久保川さんはボルネオをテーマにした授業でGoogle Earthを活用していました。身近なポテトチップスの売上と、ボルネオゾウのジョーくんが動物園に来た理由をワークシートを使って生徒に考えさせます。最初は経済が潤ったから、という回答が目立ちますが、Google Earthを活用して、ボルネオの森が人間活動で破壊されていること、そのためにジョーくんが保護されていた、という事実にたどり着きます。美味しいポテトチップスの裏側で誰かが泣いているかもしれない。この問題の解決は一筋縄ではいきませんが、生徒さんたちは様々な思いを小論文で書いてくれたそうです。

問いを書いた用紙(挑戦状)をストーリー立てて配布します。問いの内容は主に様々な社会問題と教科を織り交ぜたものなど。生徒は問いに答えるために他の教科の教科書なども駆使して、問いに対する答えを導き出します。
生徒が答えを導きだし、解説をしたのち、再度同じ問いが投げかけられます。そのときには生徒は、なぜその問いが投げられたのかを考えることができ、その問いについて自然と自分の意見を考えることができるような仕掛けになっているそうです。あえて授業プリントを挑戦状に変えて生徒を楽しませながら、物事の本質を理解できる授業内容に感嘆の声が多く上がっていました!


・尾之内 童さん 光ヶ丘女子高等学校 
光ヶ丘×SDGs これまでの6年、これからの6年


尾之内 童さん 光ヶ丘女子高等学校

尾之内さんはこれまで光が丘女子高等学校でSDGsに関する活動をたくさん実践されてきました。

SDGsは現代の問題を色んな角度から考察するために使えるツールだと考えています。最初に始めた活動は、ハブラシを回収するプログラムです。回収したハブラシで植木鉢をもらったので、女子校という特色を活かし国際女性デーについて学び、3月8日(国際女性デー)にこの活動のシンボルであるミモザの植樹をしました。学校で立派に成長したミモザは「女性の人権を考え、発信する」という象徴になりました。他にも学校でSDGs達成のためにできることをリーフレットにして伝えたり、FSC認証紙のトイレットペーパーを設置するなど様々な活動を行ってきました。その結果、当時活動していた生徒が大学4年生になり、生理用品を竹で作るプロジェクトを事業化させるために学生団体を立ち上げ、現在は起業を検討しているそうです。

尾之内さんは、教員の働きかけで大事なことは、アンテナを張って情報を伝えること、生徒たちに運や縁を提供し、まずはやってみるきっかけをつくることだと言います。そして忘れてはいけないのが、自分自身(教員)が楽しむこと!その証拠に、お話をされている尾之内さんはとても楽しそうでした。


・櫻井春風さん 辻󠄀調理師専門学校 学生
海に向き合い、寄り添うプログラム



櫻井春風さん 辻󠄀調理師専門学校 学生

辻󠄀󠄀調理師専門学校日本料理専攻2年生の櫻井さんからは、THE BLUE CAMPでの活動についてお話ししていただきました。

THE BLUE CAMPは3ヶ月間、学生がシェフとともに今と未来の海を学び、その集大成として学生だけで6日間のポップアップレストランを企画・運営するというプロジェクトです。漁港に行って五感を使い学んだことをレストランで提供する一皿に表現します。櫻井さんはこの学びと「海について自分ごと化して考える」ことの重要性を伝えるための役割として料理コースのメインディッシュに「手紙」をお客様に読んでもらうという仕掛けを考えたそうです。手紙の文は会場でも読み上げ、参加者の心を動かしていました。 

学校と連携する企業・団体の取り組み紹介、中川敬文さんのパターン・ランゲージ入門・ワークショップの様子は後半でお届けします。
後半の記事はこちらからご覧ください。

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