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2022.01.21 | 岩井 光子

ジャンルを選ぶ新しい寄付のかたち 寄付プラットフォーム「solio」

年末に機運が高まるのが、日本の寄付の特徴だそうです。赤い羽根でおなじみの歳末たすけあい運動の起源は意外と古く、日露戦争の頃までさかのぼるといわれています。地域の貧困家庭を慰問し、年越しのお餅などを配ったことが始まりでした。

昨年末、日本ファンドレイジング協会が4年ぶりに発刊した寄付白書2021によると、2020年の個人寄付総額は1兆2126億円。2016年の前回調査から156.3%伸び、東日本大震災以降9年ぶりに1兆円を超えました。近年増えているのは、投資と寄付の間をいくような新しい形の寄付。本来寄付は見返りのないお金の使い道ですが、寄付額に応じて物品やサービスの“リターン”を選べるふるさと納税やクラウドファンデイングが伸びています。

寄付率は高年齢ほど高い傾向があったが、コロナ関連寄付率は20代が最も多かったという(「寄付白書2021」資料より)

といっても世界をみると、寄付大国アメリカの個人寄付額は3241億ドル(約34兆5948億円)。GDPで比べるとアメリカは1.55%、日本は0.23%(おおよそ7分の1)ですから、日本の寄付市場はまだ発展途上で、伸びる余地があるといえます。

寄付に積極的になれない人からよく聞くのは、「どこに寄付したら良いのかわからない」という声。そこで寄付先が思いつかなくても、なんとなくこのジャンルを支援したい。その思いさえあれば寄付できる仕組みとして2020年にスタートしたのが「solio」です。

solioのトップページ

solioはソーシャルポートフォリオの作成を請け負うサービスで、いわば寄付版投資信託。スマホでアカウントを作れば、すぐに寄付を始められます。500円の少額からOKで、「保健・医療増進」「動物保護」など12のジャンルから自分が支援したい活動領域を選び、あとは投資の資産構成のように金額の配分率を決めるだけで複数の団体に寄付できます。

利用者は20、30代の若い世代が中心で、solioが自発的な寄付の初体験になる人も。2021年の寄付総額は約500万円。配分率は毎月設定し直せるので、いろんなジャンルで活動するNPOやNGO、市民団体などの取り組みを身近に感じる機会になります。代表の今井紀明さんは「コーヒーを飲むような感覚で寄付を体験してほしい」と呼びかけています。

solio運営チーム(右から2人目が代表の今井さん)

企業や行政が手の届かない社会問題の解決を担うのが、非営利組織の役割。儲けを生む経済活動としては成立しない領域にお金を回す重要性は、日本では理解されにくい現状もあります。そもそも寄付について勉強したり、話す場が日本では非常に少ないことから、solioは昨夏、寄付にまつわる素朴な疑問をみんなで考える「solio Q」を立ち上げました。「初めての寄付は?」「あなたにとって寄付とは? お金とは? 怒りとは?」「あなたが初めて資本主義を感じた時は?」、質問と回答はTwitterなどでハッシュタグ付きででシェアされ、SNS上を飛び交う様々な意見が寄付について考えを深めるきっかけになっています。

寄付白書の調査分析によると、「(寄付で)社会現象を望ましい方向に変えられるかもしれない」との問いに肯定的な回答をした人ほど、寄付率も高い傾向があったそうです。寄付は「社会課題の最短解決手段」と今井さん。solioのように時代とニーズに合った寄付方法の登場で、社会を良く変えたいという願いと寄付行動がさらに結びつきを強めていけると良いですよね。

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岩井 光子
岩井 光子(いわい みつこ) ライター

地元の美術館・新聞社を経てフリーランスに。東京都国際交流委員会のニュースレター「れすぱす」、果樹農家が発行する小冊子「里見通信」、ルミネの環境活動chorokoの活動レポート、フリーペーパー「ecoshare」などの企画・執筆に携わる。Think the Earthの地球ニュースには、編集担当として2007年より参加。著書に『未来をはこぶオーケストラ』(汐文社刊)。 地球ニュースは、私にとってベースキャンプのような場所です。食、農業、福祉、教育、デザイン、テクノロジー、地域再生―、さまざまな分野で、地球視野で行動する人たちの好奇心くすぐる話題を、わかりやすく、柔らかい筆致を心がけてお伝えしていきたいと思っています!

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