百年の愚行(ONE HUNDRED YEARS OF IDIOCY)
レイ・ブラッドベリ著/伊藤典夫訳/ハヤカワ文庫

華氏451度とは紙が燃え始める温度。書物が禁じられ、隠し持っていることが見つかると焼却・処罰される世界を描いた近未来SFだ。近現代ではナチスによるものが有名だが、焚書は古来、ある文明が他の文明を滅ぼす際によく行われた。書物を愛する人々がディストピアから脱出し、個々人が本1冊を丸ごと暗記するという結末は感動的だが、逆に言えばこれほど暗澹たる未来はない。フランソワ・トリュフォーによって映画化もされている。